ソール・ライターの原点 ニューヨークの色
渋谷ヒカリエ9F
2023.7.8~8.23開催 11:00~20:00(最終入場19:30)

ソール・ライターを知ったのは、書店で写真集『まだ見ぬソール・ライター』を見たときだった。
スナップ写真から醸し出す雰囲気が独特で、心惹かれた。
今回、渋谷ヒカリエで生誕100年記念の写真展が開催されるとのことで、行ってみた。
ヒカリエは渋谷駅に直結していて、エレベーターで9Fまで上がる。
当日券を購入後入口へ入ると、スクリーンに看板が投影されていた。

写真を見た時の印象は、
特別なものを写しているわけでないが、独特の雰囲気を醸し出している。
そこに惹かれた。
ソール・ライター自身、
I think mysterious things in familiar places. We don’t always need to run to the other end of the world.(神秘的なことは馴染み深い場所で起きると信じている。なにも、世界の裏側まで行く必要はないんだ。)
と言っていることから、特別な光景を写しているのではない。
特別なものを写しているわけではないが、特別な写真になっているのだ。
なぜかと考えると、
一言で言えば、いい意味で「余計なものが写り込んでいるから」だと思う。
それは遊び心でもあり、それが画の余裕を感じさせるものだ。
反対に、無駄なく合理的に作られたものは、余裕なく、無味乾燥。
その意味で証明写真のように正面からピシッと写した写真とは一線を画している。
フレーミング
その遊び心は、1つは独特のフレーミングに表れている。
例えば、窓から見える景色を撮るとする。
ソール・ライターなら、景色だけでなく窓枠や窓のある壁も入れ込むのではないかと考えてしまう。
その半端さが、写真の奥行きを生み出している。

光の扱い方
2つ目は、光の使い方だ。
写真の中にある光と影のバランスが絶妙。
写真全体が明るいのではなく、影になる部分も入れ込んで写している。
それが(特別なものを写しているわけではないのに)絵に立体感を与えている。
普通、光と影があれば、光の部分のみにレンズを向ける人が多いだろう。
写したいのは光の部分だからだ。
そこにわざわざ影になる部分を入れ込んでくる。
それがまた立体感を生み出している。
全体的に、明るい雰囲気の写真は多くない。
少し暗がりの、セクシーさを醸し出す雰囲気の写真が多い。
日本語だと「風情がある」という言葉が近いと思う。

引き算の写真
他には、標準域〜望遠域の写真が多いという点に気づく。
全部を写すのではなく一部分のみを切り出している。
写真は「引き算」と言われるが、まさにこのことだと感心させられる。
絶妙な引き算だ。
何を写すか(何を画面に入れるか)には、写真を撮るとき誰もが関心を寄せる。
反対に何を写さないか(何を入れないか)を判断するのは、それなりの技術がいると思った。
同じ場所で写しても、引き算の技術で全く違う写真になる。

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