時を超えるスタイル
Yves Saint Laurent, Across the Style
世界的デザイナー
イブ・サンローランは、21歳でディオールのチーフデザイナーとしてデビューし、世界の女性ファッションシーンをリードした。1958年のデビューから2002年の引退までの軌跡を辿る、没後日本初の回顧展だ。
本展覧会は全12章からなる。
印象深い展示
特に印象に残っているのは、第3章「芸術性 刺繍とフェザー」だ。
例えば、
金色の緻密な刺繍が施された
3-1「イヴニング・アンサンブルのカーディガン」(1972年 秋冬オ ートクチュールコレクション)
青色の羽が緻密に敷き詰められたような刺繍の
3-4「イヴニング・アンサンブルのカーディガン」(1986年 春夏 オートクチュールコレクション)
薄暗い部屋でライトアップさ際立つ、絢爛で緻密な衣服だった。
※第12章以外は撮影禁止のため写真は割愛
前提知識
ファッションに関する展覧会ははじめてで、その分野に詳しくなければわからないワードがよく出てくる。
「オートクチュール」とは?
展覧会で頻繁に登場する「オートクチュール」というワード。
パリのクチュール組合加盟店でオーダーメイド注文された、1点ものの最高級仕立て服のこと。サンローランもここに注文して縫製したという。パリでは「オートクチュールコレクション」というファッションショーが開かれる。大量生産される服のファッションショーである「パリコレ」に対し、オートクチュールの方は、そのモデルに合わせて作られた1点ものの品であるという点と、クチュール組合加盟のメーカーでないと参加ができない。
なぜサンローラン(男性)が女性の服をデザインしたのか?
女性ファッションと書いたが、イブ・サンローランは男性だ。
男性が女性のファッションをデザインするという点に素人ながら疑問に思った。例えば、1960年代パンツコーデは男性のファッションだった。しかし、彼によって女性のパンツコーデが生み出され、今日に至る。この例のように、男性のファッションを女性のファッションに取り入れたのだという。
そのため、「モードの帝王」と言われる。
モードとは?
フランス語で流行やファッションを指す。
コレクションで発表された流行の最先端をいくファッションのこと。
モードの帝王とは、サンローランが、流行の最先端をいく、つまり、流行を作り出す帝王であるという意味になる。

90年代の訪日
90年代に来日(初めての海外旅行)。
サンローランは日本のことを「歴史がありながらもモダンな国」で「早くから探し求めていた」と述べた。
引退会見
引退会見(2002年)で彼は
ファッションとは、女性を美しく見せるだけではない。
身にまとう人の不安を取り除き、自信を与え、自分らしさを主張するものだと述べた。

おわりに
ファッションデザイナーの展覧会を見たのは初めてだったが、ファッションという芸術の一分野が、「芸術とは何か」という問いに答えてくれているように感じた。
例えばサンローランの引退会見でのファッションとは何かという問いに対して、「女性を美しく見せるだけでなく、身にまとう人の不安を取り除き、自信を与え、自分らしさを主張するもの」という答えがそうだ。
もっとも、サンローランらはファッションは芸術的な仕事ではあるが、芸術ではないと考えている。自己充足的な芸術に対し、ファッションはそれを着る女性を必要としているためだ。そのため、ファッションは「ひとつの生き方で詩的な工芸」だと述べている。
芸術は起点が芸術家自身にあるため、服を身に纏う女性がいて、その女性に影響を及ぼすファッションとは性格が違うかもしれない。芸術が自ら発光する恒星だとしたら、ファッションは、デザイナーである恒星とその光を受けて光る惑星(モデル)という相互関係のようなものかもしれない。
しかし、今回の展覧会を見る限り、それは芸術というレベルのもので、芸術ではないのなら何なのかという疑問を感じるほどだった。


展覧会情報
土曜日の11:00ごろ到着したと思うのだが、すでに待ちの列ができていた。展覧会入り口から続く、横に4人ほど並んだ列が折り返して、さらにもう1列できていた。数十分は待つことになるだろうと思っていたが、15〜20分程度で入ることができた。混み具合はさすがに混んでいて、場所によっては満員電車のようになるところもあった。
所在地:東京都港区六本木7丁目22-2
国立新美術館
※乃木駅構内から直通、六本木駅から徒歩10分。
開催時期:2023/9/20~ 12/11
※毎週火曜は休館
開催時間:10:00〜18:00(金土は20:00まで)
※最終入場は閉館30分前まで
観覧料金:一般2,300円、大学生1,500円、高校生900円
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