Works from the Tate Collection LIGHT
ターナー、印象派から現代へ
今回の企画展のテーマは「光」
私は写真を撮るのが好きなので、「光」といえば写真を思い浮かべる。
光の当たる角度、光の強さ、光の色合い、質感(硬さ・柔らかさ)など、あらゆる要素を考慮して、被写体から何を引き出せるかが変わる。
例えば、朝や夕方の光は柔らかい光で斜めから照らす。昼間の光は強めの光で真上から照らす。光が時間帯によって表情を変えるため、同じ被写体を写しても、印象はガラリと変わる。
ものの見方や考え方は、角度を変えると全く異なる様相を見せるように、
写真も光のコントロールによって、被写体の多彩な表情を引き出せる。
さて、今回の企画展の副題には「ターナー」という名前が入っている。
ターナーはイギリスで「光の画家」と呼ばれる。
ドイツの作家であるゲーテは「色彩は光と闇から成り、光と闇の結婚である」と述べた。ターナーはこのゲーテの影響を強く受けている。
ニュートン光学は、色彩が光のある状態で、光のない状態が闇であると主張するが、ゲーテは闇も色彩だという。
日本の著者が書いた本にも、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』など光と闇に関する論考がある。
光は、その多彩な表情によって人の心を温めたり、包み込んだり、クールな気分にさせたりと、感情に多くの影響をもたらす。
例えば、カフェで用いられている暖色系の光、ブランドショップのクールな光など、何をどう見せたいか、見た人がどんな感覚になるかが検討され、光の色や強さが変わる。
そんな光が持つ多彩な表情ををこの企画展では体験できる。
やさしい光の絵画

ターナーの「湖に沈む夕日」はとても気に入った(1840年頃)。
夕日がタイトルだが、何か包まれるような光の温かみ、優しさを感じる。

ジョン・ブレット『ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡』1871年
一際目を引くきれいなブルーの絵画。清々しい色だ。空からの木漏れ日のように雲の間をすり抜けた光が、海面を照らしている。
空の青い色と海の青い色は異なっている。
光をテーマにした作品は絵画だけではない
ジェームズ・タレル『レイマー、ブルー』(1969年)が印象深い。
この作品は1部屋全体を使ったものだ。入口向かいの壁の縁が四角く青いライトで一周し、部屋全体を照らすことで青い世界になっている。
この部屋にいると不思議な感覚になる。青一色の部屋は、非日常的な空間であるにもかかわらず、妙に落ち着くのだ。自分の部屋にもほしい光だ。
(残念ながら撮影禁止のため写真を載せていない)

ペー・ホワイト『ぶら下がったかけら』2004年

リズ・ローズ『光の音楽』1975年
1部屋の中にプロジェクター2台が設置されており、部屋に入った来場者はその2台に挟まれる位置関係になる。すると2つの壁に人影が投影され、ビューンという効果音とともに、影が拡大縮小したり、絵柄が変化する。その場にいるだけでおもしろい気分になる。

オラファー・エリアソン『星くずの素粒子』2014年
巨大な地球のようなガラスの球に光が当たる。多角形の球は光をあらゆる方向に反射して、光が散りばめられたように見える。
今回の企画展は光がテーマで、芸術が光をどのように表現してきたかの歴史を体感できる。絵画、映像、写真、造形物など様々な種類の作品を通じて、光の多彩な表情を見せてくれた。芸術に詳しくないとあまり楽しめない展覧会もあるが、今回は非常に充実した企画展だった。光で心が温まる・包まれるような思いだ。アート作品は言葉で表現するのが難しい。ぜひこの記事を読んだ方は足を運んで実物を見ていただきたい。
次回の企画展が待ち遠しい。
東京都国立新美術館

森の中の美術館をコンセプトに建築デザイナーの黒川紀章によってデザインされた。2007年にオープン。
所在地:東京都港区六本木7丁目22-2
→乃木駅構内から直通、六本木駅から徒歩10分の場所にある。
付近には2121 design sight、森美術館などがある(徒歩圏内)。こちらもおすすめの美術館だ。
東京で開催されている展覧会情報は以下のTokyo Art Beatのサイトで紹介されている。
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